全てのビジネス文書はアウトラインプロセッサで処理する
アウトラインプロセッサは究極の仕事ハックツールと言っていいかもしれません。
何か1つだけ仕事のツールを人に勧めるとしたら間違いなくアウトラインプロセッサを紹介します。 文章を使う仕事は全てアウトラインからはじめることで大幅に効率化をはかることができます。
ただ、使いこなすには多少の慣れが必要になります。 アウトラインの考え方や文章の階層構造を理解しておかないといけません。
なぜ小学校くらいでこれを教えないのか疑問です…。 読書感想文で原稿用紙2枚をただ書いてこいというよりアウトラインの考え方を教えたら一生ものなのに…。
それくらい威力のあるツールです。
アウトラインを使ってスピーディーに高品質なアウトプットを量産できるようになりましょう。 ちなみにこの記事もアウトラインプロセッサを使って書いています。
アウトラインとは
まずアウトラインとは何かということから説明します。
アウトラインという言葉はモノの輪郭やコトのあらましを意味します。 文章を中心とする情報においてはその内容を階層構造によって表したものをアウトラインと言います。
その階層構造を使って文章を構成していくことを「アウトライン文章術」と呼ぶことにします。
では文章の階層構造とはなんでしょうか
文章の階層構造とは
大きな文章のかたまりの中に中くらいの文章のかたまりがあり、中くらいの文書のかたまりが小さい文章のかたまりに別れてるという構造のことです。
正式には章、節、項と言ったりしますが、難しく考えず大項目、中項目、小項目と考えればいいと思います。
小説でもオフィス文書でもそのような構造になっているものがほとんどです。 例えば下記のような構造のことです。
[https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/G/09/detail/review/steve5_h697.jpg]
実例を見たほうがわかりやすいですね。 これは「スティーブ・ジョブズ」という本の目次ですが、内容の大きな区切りとして章があり、その中に小さな区切りとして見出しが複数入っているのがわかると思います。
この**文章構造を意識しながら文章を作っていくのが「アウトライン文章術」**です。
アウトライン文章術はどんなものに応用できるか
文章を使用するものであればほぼ全てに応用できます。
例えば下記のようなものです。
- PowerPointを使ったプレゼン資料
- クライアント向けの企画書、提案書
- 社内用の起案書
- プロジェクトの構想
- 打ち合わせ時のメモ
- 会議の議事録
- ブログ記事の下書き
- TODOの管理
- 要件定義書
- 仕様書
- 説明書・マニュアル
かなり利用範囲が広いことがわかっていただけるかと思います。
アウトライン文章術のメリット
文章のストーリーや論理の流れが確認しやすい
階層構造のトップレベルである全体の大きな流れを見ると、現在書いているもののストーリー展開や構成が掴みやすくなります。
現在の状態が把握できると、文章の流れやストーリーの違和感に気づきやすくなります。
大きなところでストーリーがおかしいと、その後の細部を作っていってもうまくいきません。最初の段階で全体の流れを修正できるというのも大きなメリットです。
また、自分にとってストーリが理解しやすいということは、その文章を読む他人にとっても理解しやすい可能性が高いということになります。
文章をブロック(かたまり)単位で考えることができる
大項目、中項目などのブロックの中は1つの閉じた世界になっています。
そのブロックが集まって全体を構成しています。
アウトラインを使っていればそのブロックを入れ替えたり、並び替えることでストーリーを調整し、わかりやすいものにすることができます。
また各ブロックの中だけを見て内容を推敲することができます。
読み手の利便性
アウトラインが整備されていると、どこに何が書いてあるかがはっきりしますので、文章の読み手は必要な箇所だけ読むということができます。
既に知っている情報や自分に関係の無いところなどは読み飛ばせるので短時間で文章を読むことができます。
アウトライン文章術の実践方法
アウトラインを使った文章を作るには下記の2つのアプローチがあります。
- 大項目から作っていく方法
- まず書きたい内容を書き出す方法
それぞれ説明していきます。
大項目から作っていく方法
例えば、何かの問題を解決するための施策の提案書であれば下記のような大項目を設定します。
- 現状の問題
- 現状のまとめ
- 解決ために必要な施策
- 具体的な施策内容
- スケジュール
- 御見積
各大項目にかかれている情報は必ず1つにします。 情報が2つになった場合には2つの大項目に分割しましょう。
最上位の構成であれば長大な論文でもない限りは10個くらいの項目で収まるはずです。 この時点でストーリーとして順番がおかしくないか検討します。
上の例であれば「現状の問題」と「現状のまとめ」は逆にしたほうがいいです。 実際に文章を書いて、細かいところまで作り込んでしまって、あとから大きな流れを修正するのは大変なので。
逆に大項目の並びがわかりやすいものになっていれば、その後の作業で文章全体の論理やストーリー、分かりやすさが大きく崩れることはありません。
大項目が固まったらそれぞれの項目の中に中項目のリストを作っていきます。 大項目の数だけ中項目のリストができます。
大項目のリストをチェックした時と同じように各中項目のリストの流れにおかしいところがないかチェックします。
まず書きたい内容を書き出す方法
1人でブレストをするようなイメージでその文章の中で書くべき内容、書きたい内容を書き出していきます。
とにかく羅列するだけでOKです。
優先度が高い内容、重要な情報からどんどん列記していきます。
表現が違って内容が重複しているような場合も気にしなくても大丈夫です。
大項目から作っていく方法が正攻法ですが、こちらのほうがスピーディーですし、どちらかというと初心者向けです。
だいたい書き出し終わったらそれらをグループ分けしていきます。
まず、書き出した内容が似ているものをとりあえず固まりにしていきます。
どれにも当てはまらないというものが出てきますが、それはとりあえず「その他」枠にいれておきます。
グループ分けが終わったらそれぞれのグループの内容が何なのかを検討し、ラベルをつけていきます。問題の背景にあたるのか、現状にあたるのか、対策にあたるのかを考えて分類していくようなイメージです。
ラベルをつけ終わったら、分かりやすいストーリー展開になるようにグループを並び替えていきます。
そのグループが大項目になるので、あとは正攻法とおなじように各大項目の中を精査していきます。ある程度、中身ができているので正攻法よりも早く作業が進められるはずです。
2つの方法に共通すること
最終的な文章がですます調だったとしても項目を書き出すときはである調にします。
そのほうが時間の短縮になるからです。
書き出す項目は文章になってなくても問題ありません。 自分がわかればいいのでキーワードを並べるだけでも大丈夫です。
上でも説明しましたが、各項目に含まれる情報はできる限り少なくします。 1つの項目に複数の情報が入っている場合は項目を分割することを考えましょう。
アウトライン文章術をサポートするツール
頭から文章を書いていく方法と違い、アウトライン文章術では文章を並べ替えたり、文章の固まりを移動したりする作業が多くなります。
また、その作業を効率よく進めるために大項目、中項目、小項目の階層構造全体を常に把握しておく必要があります。
そういった作業をサポートしてくれるのがアウトラインプロセッサです。 アウトラインプロセッサ使うと下記のようなメリットを得られます。
動作が早い
オフィスソフトなどは動作が重いので、処理の待ち時間などで時間をとられますが、アウトラインプロセッサはエディタを拡張したようなアプリケションなので動作が高速です。
動作が早いのでは考えていることをすばやくアウトプットできます。
箇条書き形式で文章をすばやく羅列できる
デフォルトが箇条書き形式になってるので項目単位で文章を書き出すのが楽です。
文章のブロック単位で順番の入れ替えができる
項目単位で文章を入れ替える機能があるので、項目の並びを簡単に編集できます。
最小単位だけではなく移動することも大項目単位や中項目単位で移動することも可能です。
文章の階層を簡単に変えられる
小項目を中項目に格上げしたり、逆に大項目を別の大項目に下に入れ込むといった階層の上げ下げが簡単にできます。
一応Word、PowerPointにもアウトライン機能はあるのでそれを使ってもいいですし、アウトライン編集に特化したエディタを使ってもいいです。
オフィス系のアプリケーションは動作がアウトラインに特化したエディタと比べると重いので、個人的には後者のほうがおすすめです。
次項でおすすめのアウトラインプロセッサを紹介します。
アウトラインプロセッサの紹介
これまで使ったアプリの中では下記のものがおすすめです
workflowy
- 一部無料
- 基本はWebアプリ、Androidアプリ、iOSアプリ有り
- 唯一のアウトラインで全ての情報を管理する形式になっている
dynalist
- 一部無料
- 基本はWebアプリ、Androidアプリ、iOSアプリ有り
- 複数のアウトラインを保存可能
- 基本機能以外にアウトライン間で項目を移動するショートカットがあり便利
- コードや数式の記述、画像の貼り付けにも対応
- 文字や背景に色がつけられる
omnioutliner
- 有料
- MacOSアプリ
- アウトラインにテーマが適用できる
- 行間の高さやインデント幅などの指定が可能
- Microsoft Word形式でエクスポートできる
- タイプライター・モード(ユーザーがタイプしている行が常に画面の中央に来るように画面が自動的にスクロールするモード)がある
- 文字数、単語数の表示機能有り
- 全ての端末で使えて、かつ複数のアウトラインを保持できるので現在はDynalistをメインに使っています。
- いずれのアプリも無料でおためしできますので自分に合うものを探してみてください
まとめ
文章を使う仕事というのは非常に多岐に渡ります。
アウトラインを使いこなすことでその全てを効率化することができます。
ぜひ一度取り入れてみてください。